#3 改正民法(公証人による保証意思確認の手続新設について)
Plusαの力で、
社会を創造する。
創造性、多様性、持続可能性。三つの観点からソーシャルデザインへの参画を。
平安行政書士事務所
行政書士とは
書類作成のプロフェッショナル
行政書士とは、その業務として①官公署に提出する書類作成、②権利義務に関する書類作成、③事実証明に関する書類作成を、他人の依頼を受け報酬を得て行う(行政書士法第1条の2)国家資格者です。行政書士制度の前身は、明治時代における代書人制度にあると言われており、「書類作成」のプロフェッショナルといえます。
行政書士が取り扱うことになる官公署に提出する書類は、主として許認可に関するものとなりますが、1万種類以上あると言われており、権利義務に関する書類については、遺産分割協議書、各種契約書(念書・覚書・示談書等も含む)、内容証明、告訴状、定款等多岐にわたっています。
極めて広範な行政書士の業務範囲
また書類作成以外に、相談業務、コンサルティング業務も行い、日本行政書士会連合会のウェブサイトにおいては、行政書士の役割について「依頼された通りの書類作成を行ういわゆる代書的業務から、複雑多様なコンサルティングを含む許認可手続の業務へと移行してきて」いると指摘されています。
このように行政書士の業務範囲は極めて広範であり、そのすべてを網羅することは不可能なので、各行政書士は、自らの業務範囲を選択して、独自性・専門性を打ち出すことが必要となります。逆に言えば自分なりの行政書士像のキャリアデザイン創造が可能であり、この点に行政書士資格の醍醐味・魅力があります。
組織に属さない自由業としての側面
行政書士として業務を行うには、各都道府県の行政書士会に登録することが必要となり(行政書士法第6条)、「その業務を行うための事務所を設けなければならない」(行政書士法第8条)とされています。即ち行政書士は独立開業することが前提とされており、その意味において作家やアーティスト等に代表されるような、組織に属さずに働く自由業としての側面があります。それは自由業であるがゆえの厳しさがあることを意味し、資格さえあれば食べていけるなどということはなく、独立開業の他士業と同様、行政書士本人の個としての力(専門知識・経験・人格)が常に問われます。また業務の性質上、社会的な責任も大きいため、常に襟を正して高い倫理観を持し、緊張感をもって職責を果たすことが必要です。
他士業や様々な人々との連携・協働の必要性
前述したとおり、行政書士の業務範囲は極めて広範ですが、その一方で、他士業の独占業務との関係で、行政書士は「その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。」(行政書士法第1条の2・2項)とされており、業務遂行にあたっては、他士業との連携・協働が必要となる場面が少なくありません。また広範な業務に対応するために、他の行政書士との連携・協働が必要となることも多く、自由業とは言いながら、決して一匹狼的な存在ではなく、様々な専門家や組織とのコラボレーションを行う協調性と柔軟性、一言でいえば高い社会性が求められます。
行政書士法 第1条の2
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
行政書士の職責
「行政書士倫理綱領」という文書には、行政書士の使命について「行政書士は、国民と行政のきずなとして、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献することを使命とする」とあります。「国民と行政のきずな」というのは、行政書士という資格名称からも伺えるとおり、その主たる業務として「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類」の作成が挙げられていることと関係があります。
私たち国民が、行政機関に申請を行う際に提出する書類は、様式が定まっていて堅苦しく、ともすると作成するのが面倒に思えることもあります。書類なしに口頭で全部済ませることができればよいのに、と思うこともあるでしょう。
しかし日本が法治国家である以上、国民が行政機関と文書でやりとりをすることは極めて重要なことです。行政機関が、その意思決定に至る過程などを後から検証することができるように事務及び事業の内容を文書にする事を「文書主義」と言いますが、これは法治国家の基礎を支える重要な原理の一つと言えます。仮に記録が何も残らない口頭でのやり取りで、すべての行政手続が行われるとすれば、法治主義は骨抜きにされ、人治主義が現出し、恣意的な権力行使が横行することになるでしょう。
法治国家において、公正かつ適正な行政の執行が行われるためには、国民と行政が文書でやり取りをすることが必須であり、国民が「官公署に提出する書類」の作成を行う行政書士は、国民と行政のやり取りに、文書の作成という形で介在することが認められた国家資格であり、極めて重い職責を担っています。