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ビジョン

ソーシャルデザインへの参画

 行政書士として最も重要なことは、職務を通じて何を実現するのか、いわば職務上の目的にあたるものを、しっかり認識することです。職務上の目的を考えるとき、当事務所でキーワードとしたい言葉があります。それは「ソーシャルデザイン(social design)」です。
ソーシャルデザインとは、簡単に言えば、私たちの社会をどのように築いていくのかという計画のことであり、デザイナーの筧裕介氏は、その著書「ソーシャルデザイン実践ガイド」(英知出版2013)において、ソーシャルデザインを「人聞の持つ「創造」の力で、社会が抱える複雑な課題の解決に挑む活動」と定義しておられます。


 当事務所では、その業務を通じて、ソーシャルデザインに参画したいと考えています。実際、行政書士の業務範囲は、社会全般、多岐にわたっており、様々な切り口で、ソーシャルデザインに参画し得る可能性があります。例えば、行政書士業務の花形ともされる許認可申請業務は、新規事業の創出に関わることですが、その業務を通じて、行政書士はソーシャルデザインに参画していると捉えることも可能です。


 行政書士の業務をソーシャルデザインへの参画と捉える場合、どのような社会を築くべきか、行政書士が自らの社会観・ビジョンを持つことが重要となります。そして、その社会観・ビジョンの実現こそが前述した行政書士の職務上の目的にあたると当事務所は考えます。そこで、当事務所の社会観・ビジョンをお伝えするため、3つのキーワードを掲げて説明したいと思います。それは、創造性・多様性・持続可能性です。

創造性

持続可能性

多様性

ソーシャルデザイン

Creativity

創造性

「創造性を発揮できる社会の実現」

 まず、活力ある社会とは、その構成員が自らの「創造性(Creativity)」を発揮できる社会であると考えます。創造性とは「新奇で独自かつ生産的な発想を考え出すこと、またはその能力」(「日本大百科全書」より)であり、創造性の根底には想像力・構想力といった能力があり、それを育てることが重要です。特に高度情報化社会における産業の発展を考えたとき、従来の発想・常識を覆す、全く新たな発想が次代を切り拓く力となると考えられています。


 構成員が創造性を発揮できる社会を実現するためには、前提となる社会的基盤の確立が必須であり、そのためには様々な社会的課題の解決に向けたソーシャルデザインが必要となります。想定される様々な社会的課題から、あえて一つだけ挙げておきますと、例えば、芸術文化の振興という課題があります。生活困窮者救済といった喫緊の社会的課題と比べますと、芸術文化の振興という課題は、一般に優先順位も低く考えられるでしょうが、健やかな社会の維持・発展においては「無用の用」というべきものに対する視点を欠いてはならず、課題としての重要性も決して低くはありません。
 

 当事務所は、私たちが自らの創造性を発揮できる社会の実現に向け、新規ビジネスや社会事業の創出支援を始めとする業務を通じて、ソーシャルデザインに参画いたします。

Diversity

多様性

​「多様性を許容する社会の実現」

 次に活力ある社会の条件として当事務所が考えるのは「多様性(Diversity)」です。2019年にラグビー・ワールドカップの日本大会が開催され、日本代表チームの躍進にわが国全体が大いに沸きましたが、あの日本代表チームには、国籍もバックグラウンドも異なるメンバーが混在しており、そうした多様なメンバーがお互いに切磋琢磨し、ひたむきに共通の課題に取り組む姿が多くの人を感動させました。あの日本代表チームは、今後の日本社会のあるべき姿を象徴しているのではないかと考えます。

 単一性、純粋性、均質性を称揚して異なるものを排除・排斥するのではなく、むしろ価値観や考え方の多様性を許容し、そこから生まれるエネルギーをプラスに転換することこそが、活力ある社会の条件と言えると考えます。ある社会が創造的で活力に満ちたものとなるためには、その社会が価値観や考え方の多様性を尊重していることが必須です。


 現在、日本では少子高齢化が進み、人口減少により活力が失われることが強く懸念されています。解決策として海外からの人材受け入れの促進が図られていますが、単に労働力不足を補う手段としてのみではなく、多様な価値観を受け入れることで生まれる創造的なエネルギーを生み出すためにこそ、海外から積極的に人材を受けいれるべきと考えます。そして世界から人材が日本に集まるようにするためには、外国人の受け入れサポート体制をさらに充実させることが大切でしょう。
 

 また社会的マイノリティ、社会的弱者とされる人々が差別的取り扱い等の不利益を受けたり、不便な状況に置かれたりしているのであれば、そうした人々の声に耳を傾け、是正・改善に向け、できる限りのサポートを行うことが必要です。それは単に社会的マイノリティの人々のための援助に留まりません。そうしたサポートは、誰もが安心して暮らせる健全な社会を目指すためのものであり、社会のすべての構成員のために必要なことです。

 また社会的マイノリティ・弱者とされる人々が、安心して自らの創造性を発揮できる環境を整えることで、必ずや社会を豊かにするエネルギーが生まれるに違いありません。当事務所では、多様性を包摂し、創造的なエネルギーに変換し得る社会の実現を目指して業務にあたりたいと考えています。

Sustainability

持続可能性

「持続可能な社会の実現」

 3つめのキーワードは「持続可能性(Sustainability)」です。ローマクラブが地球上の資源の有限性に着目して「成長の限界(The Limit to Growth)」を発表したのは1972年のことです。またNASAゴダード宇宙研究所所長ジェイム・ハンセン博士が地球温暖化についてアメリカ上院の公聴会で問題提起したのは1988年です。資源・エネルギー問題や環境問題の惹起に伴い、持続可能性な社会ということが言われるようになりました。現在ソーシャルデザインに取り組む際には、この点は、必ず踏まえなければならない前提ともいうべきものと言えましょう。


 ソーシャルデザインは、社会の構成員である私たち自身の幸福を考え、それの実現を目指すという側面を有していますが、持続可能性という前提を踏まえれば、少なくとも欲望のまま消費につぐ消費を重ねることに、充実感や幸福感を見出すようなありかたは再考しなければならないでしょう。地球上の環境において、限りある資源を分け合いながら、私たちは生存しなければなりませんが、どのような生き方が人間らしい生き方といえるのか、哲学的と言ってもいい問いに向き合いながら、あるべき社会の姿を求めていくことが重要であると考えます。
 

 持続可能な社会の実現という課題は、極めて大きなものであり、一個人や一組織で解決できるようなものではありません。しかしながら、その大きな課題を念頭に置きながら、業務にあたることは可能ですし、大切なことであると考えます。

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